心臓インプラントにおける信頼性の高い液剤塗布への道
概要
1950年代以来、不整脈やその他の心臓疾患を持つ人々は命を救うためや生活の質を改善するために、ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)などの心臓インプラントを頼ってきました。これらの救命デバイスは、最初はウェアラブルとして、そして最終的には植込み型として、長年にわたり進化してきました。技術の進歩に伴い、これらの心臓インプラントは、患者にとってより快適で、外科的に植込む際の侵襲を少なくするために、より小型化される傾向にあります。
この記事では、これらのデバイスの製造に必要な多くの液剤ディスペンシング・アプリケーションと、ライフサイエンス業界では常に重要な精度と信頼性の重要性について説明します。
使用液剤
心臓インプラントは、植込み型パルス発生器(ハウジング)とリードの2つの部分から構成されています。
ジェネレーターの内部には、約5-10年もつといわれるリチウムイオン電池で駆動する、心臓の電気的活動を記録する電子機器があり、心臓専門医が後で分析することができます。
リードは絶縁された導体で、患者の自然なペースメーカーである洞結節(SA結節)が機能不全に陥ったときに、電子パルスやショックを与えます。心臓インプラントを製造する際、メーカーは通常、接着剤、潤滑剤、シリコーン、UVマスキングなど、さまざまな液剤を使用します。
アプリケーション要件
この救命技術は、他の植込み型機器と同様、患者の安全を保証し、術後の合併症を減らすために、厳しい規制に直面しています。例えば、米国ではFDA、欧州ではUMDRがあげられます。植込み型機器の場合、これらの規制には、多くの患者を対象とした試験や、術後1年間の追跡調査などが含まれ、情報収集に時間がかかります。
これは、心臓インプラントの製造工程において、いまだに手作業を行っているメーカーがあるというのが理由のひとつとしてあげられます。なぜなら、テストを受け、新しい技術を合格させなければならず、製品製造の時間が奪われてしまうからです。また、臨床データの国内データを取得することも重要であるため、米国で使用される機器であれば、米国でもテストする必要があります。
このような規制があることで、リードの機能、バッテリーの寿命、プログラミングの点で、装置が適切に機能しているかどうかを判断することができます。リード線が心臓の壁に癒着し、上大静脈、右心房、または右心室を裂傷する危険性があると、10-20年後これらの装置を取り外すことは時間の経過とともに難しくなるからです。
20人に1人の割合で、手術を受けてから3年以内に細菌感染症にかかる患者がいるといわれています。感染症は手術に原因があることもあれば、ペースメーカーに問題があることもあります。患者のこのような症状を防ぐ一つの方法は、ペースメーカーが最初から適切に作られていることを確認することであり、そのために精密な液剤塗布が活躍します。
リード線の絶縁やペースメーカーのハウジングの成型など、ペースメーカーの各部品を注意深く作り、それらの部品を最終製品に組み立てることが、これらの規制に合格し、適切に機能する機器を作る鍵となります。
ペースメーカーの組み立てに使用される技術は、一貫して、再現性のある結果で作動しなければなりません。
心臓インプラントにおける一般的な液剤塗布用途には、以下のようなものがあげられます:
- リード線をシリコーンで絶縁
- 金型に押し込む前のチタンの潤滑
- 円形ヘッダー・キャビティへのセプタムの接着
- シリコーンによる電気部品の絶縁
- パルスジェネレーターをシリコーンでコーティング
- UVマスキング材によるPCBの保護
液剤塗布ソリューション
手動液剤ディスペンサー
多くの心臓インプラントメーカーにとって、ハンドヘルド型液剤塗布装置は、特に粘度の高い液剤を塗布する際の、細かい運動制御のために最適な選択肢の一つです。
絶縁リード
ペースメーカーやICDの組み立てにおける応用の一つに、Nusilシリコーンのような医療グレードの接着剤による心臓インプラントのリード線の絶縁があります。リード線はパルス発生器から電流を受け取り、心臓を刺激して正常なリズムで拍動させるため、これらのリード線を適切にコーティングすることは重要です。リード線のシーリングが破損すると、心臓に適切な信号を送ることができなくなってしまいます。
このような用途には、0.004 "という小さな塗布ノズルから安定した粘性のある液剤を塗布する HPx高圧ディスペンスを推奨します。手作業による疲労を軽減する人間工学に基づいた設計が特長で、ペースメーカーやICD1台につき少なくとも2本のペーシングリード線を絶縁する場合、疲労軽減は特に重要となります。
HPxは、当社の卓上型液剤ディスペンサーUltimus Iと連動し、フットペダルによる塗布量のコントロールや、0.0001秒までの時間調整などの塗布設定が可能です。27~33ゲージのマイクロドットディスペンスチップと組み合わせることで、再現性の高い微細塗布を実現します。
半自動液剤ディスペンサー
チタンの潤滑
メーカーは、ペースメーカーやICDジェネレーターのハウジングにプレス成型する前に、チタンの平らな部分をコーティングするために潤滑剤を使用します。 781Miniスプレーバルブは、ペースメーカーやICDのハウジングの金型に押し込む前に、チタンの平らな部分に潤滑剤をスプレーし、ひび割れを防ぎます。
適切に密閉することで、型に押し込まれる際に割れる可能性が低くなります。ほとんどの心臓インプラントは、長さ約2インチ、幅約4分の2スタックです。781Miniはこのような小さな部品に対応し、幅1mm(0.04インチ)の均一なスプレーパターンを確実に吐出します。小さなフォームファクターにより、バルブは部品に接近し、必要な場所に正確に塗布することができます。
セプタムのすき間接着
ペースメーカーの組み立ての際、セプタムを医療用接着剤で透明な装置ヘッダーの各円形ヘッダー空洞に挿入する必要があります。セプタムは、ペースメーカーヘッダーの開口部を覆う小さな円形の柔らかいバリアになります。
これらの穴は、外科医が手術中やその後の処置中にリード線を操作するために針で穿刺するためのアクセスポイントになります。この穴は、汚染の原因となる体液の侵入を防ぎます。
この用途には、当社のPICO XPジェッティングシステムをお勧めします。この技術は非常に精密で、温度が上下しても塗布精度を保持します。ジェッティング技術は、凹凸のあるワークピースにも安定した吐出を実現します。また、Z軸移動が不要なため、接触式バルブよりも高速で、年間約25万個以上のペースメーカーを製造するメーカーにとって効率的です。
PROPlusシリーズ自動塗布システムは、精度とシンプルな操作性を追求した最先端のロボットです。高解像度CCDスマートカメラを搭載しているため、メーカーは塗布場所を簡単に確認でき、透明な表面でも正確に塗布することができます。レーザー式ハイトセンサーを搭載したこのロボットは、繊細で小さな基板を扱う際に最適なオプションです。
シリコーンによる電気部品の絶縁
もう一つの用途は、ペースメーカーのヘッドを医療用シリコーンでパルスジェネレーターに取り付けることです。この液剤は人体に耐性があり、電気部品の絶縁体としてうまく機能します。この用途には、シリコーンとの相性が良いUltimus V高精度ディスペンサーをお勧めします。当社のPROX自動ディスペンシングシステムと併用することで、シリンジ用の完全なシステム、かつ安全なブラケットで自動化することができます。
PRO/PROPlusシリーズと同じ機能を備えていますが、作業エリアが500mm x 500mmと広くなっており、ペースメーカーのハウジング部品をより多く取り付けられるようになり、需要の増加に対応しています。このロボットは非接触式リニアモーターを使用しており、モーターの磨耗や破損が少なく、製品寿命が延び、メンテナンスの必要性を削減します。
パルスジェネレーターのコーティング
ペースメーカー・ハウジング・アセンブリ(パルス発生器)は、製造工程におけるもう一つの重要なステップとなります。ここには、電子回路とバッテリーが配置されているため、メーカーは一般的に、ペースメーカーの外側をコーティングするために、ピロリンなどの特殊なシリコーン製剤を使用しています。
パルスジェネレーターは心拍をモニターするだけでなく、患者の医師が遠隔からのデータ収集を行うことも可能にします。身体的または生理的な変化に応じて、患者の心拍数を常に監視・分析し、その情報をリード線を通して心臓に送って刺激するため、この部分が適切に機能することは患者にとって極めて重要なポイントとなります。
UVマスキング材によるプリント基板の保護
メーカーは、PCBを体液から保護する最終工程で、コンフォーマルコーティングで覆われたくない場所をUVマスキングします。このような用途には、UVコーティングを正確かつ液垂れなく塗布できる752HF-SS ハイフローダイヤフラムバルブをお勧めします。
303ステンレススチール製の液剤ボディは耐腐食性に優れ、メーカーに信頼される長寿命のディスペンスソリューションを提供します。また、このバルブは、液剤が必要な場所に正確にディスペンスされるよう、ポジティブシャットオフ機能を搭載しています。自動ディスペンスシステム自動ディスペンスシステムにも簡単に取り付けることができます。
インパクト(なぜ液剤塗布が重要なのか?)
ペースメーカーは患者にポジティブインパクトを与えるものであり、これらのデバイスが組み立ての初期段階から適切に機能することを保証することが重要です。高精度の流剤塗布ソリューションにより、メーカーは高品質な心臓インプラントデバイスを無駄なく、より高い精度で不良品をなるべく出さずに製造することができるため、時間とコストを節約します。
結論
心臓インプラントメーカーは技術の向上、心臓に関するより多くの情報を蓄積、様々な心臓疾患を持つ高齢化人口の増加に伴い、ペースメーカーに対する需要の増大に直面しています。そのため、製品に関するあらゆる厳しい規制を満たし、それを上回る製品を市場に送り出すために、市場最高となる液剤ディスペンスシステムを追究してきました。
よくある質問
心臓インプラントとは何ですか?
最も一般的な心臓インプラントの種類には、ペースメーカーとICDがあります。ペースメーカーは、洞房結節(SA結節)が正常に機能せず、心臓の拍動が遅すぎたり、速すぎたり、不規則になったりする患者に推奨されます。ペースメーカーは、2本のリード線を通して電気刺激を与えることで、心臓の拍動をモニターし、正常なリズムになるようにします。心臓再同期療法(CRT)はペースメーカーに似ていますが、3本のリード線があり、心室が互いにずれて拍動している患者に使用され、余分な電気刺激を必要とします。
ICDは、頻脈(年齢や身体活動以外で心拍数が1分間に100回を超えると分類される)や不整脈としても知られる心室細動(心臓の下部の部屋が急速に収縮し、予測不可能な方法で収縮する)を繰り返す患者に使用されます。この技術は、心臓に電気ショックを与えることで、心臓をジャンプスタートさせるような形になります。
心臓インプラントの製造にはどのような液体が使われていますか?
医療グレードの接着剤、潤滑剤、シリコーン、UVマスキングは、心臓インプラントの製造に使用される最も一般的な液剤です。
心臓インプラントメーカーはどのような自動塗布システムを使用していますか?
心臓インプラントメーカーは、より正確で生産量の増加が必要なアプリケーションの場合、自動塗布システムを使用します。このような自動化システムは、手動組み立て工程で使用される一般的なハンドヘルドシリンジよりも優れたコントロールを提供する高精度液剤ディスペンサーと簡単に組み合わせることができます。完全なシステムとして、ジェットバルブシステム、バルブシステム、またはロボットに取り付けるシリンジなど、事実上どのようなアプリケーションにも対応できるよう、様々ラインナップの中からお選びいただけます。
先進的な心臓インプラントメーカーは、PICO Nexµsジェットシステムに興味を持つかもしれません。このコントローラーは、PICO Pµlse XP噴射バルブのプログラミングを、塗布ポイントのヒューマンマシンインターフェース(HMI)を通じて監視・制御します。
これはオートメーションの次のステップです。小型、24V、DINレールマウント構造で、工場フロアの貴重なスペースを節約します。また、非常にカスタマイズしやすく、産業用イーサネットとPROFINET®、EtherNet/IP™、またはTCP/IP経由のNXプロトコルなどのプロトコルを介してコントローラーを操作できます。
心臓インプラントの製造において、液剤ディスペンサーはどのように使用されていますか?
液剤ディスペンシングシステムは、心臓インプラントの組み立て工程のあらゆるステップに組み込まれています:
- 絶縁リード
- パルス発生器ハウジングのコーティング
- セプタムをインプラント先端部に接着
- 電気部品の絶縁
- パルスジェネレーターのコーティング
- UVマスキング材によるプリント基板の保護
特に、人体に外科的に埋め込まれるインプラントにはあらゆる規制があるため、特に製造工程の液剤塗布ステップにおいて、高精度であることが特に重要となります。
液剤塗布は、心臓インプラントの製造にどのような影響を与えますか?
液剤塗布ソリューションは、心臓インプラントメーカーが高品質な製品を生産するのに役立ちます。精密で再現性の高い技術を使用することで、メーカーは生産量を増やし、不合格品や液剤の無駄を減らし、業界の規制を確実に満たすことができます。
アーメド・カーンについて
Ahmed Khanは、ノードソンEFDの精密液剤塗布およびオートメーション部門のグローバル・プロダクト・マネージャーです。顧客に提案とソリューションを提供し、初期システム統合を支援する。Ahmedは、13年にわたる液剤塗布の経験があります。2013年にノードソンEFDに入社し、イギリスを拠点としています。最近の記事
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